現代の天使

天使とはよく行く薬局のアルバイトの女性の事だ。レジの後ろは壁で、風邪薬やサプリやらがずらっと並んで高く積み上げられている。後ろにあるのは万引き防止のためだろう。

俺はすっかり常連となっている。レジに着くやいなや風邪薬の棚を見てある言葉を唱えようとした。

「し......」

新トニン下さい、と言おうとした瞬間の事だ。ただチラッと、風邪薬がある上の棚を見ただけだ。

「新トニンですね!」

声がハキハキと嬉しそうだ。くるりと後ろを向き、つま先立ちで取りにくそうに戸棚に手を伸ばし、何とか新トニンを勝手に笑顔で2本持ってくる。本当は一本しかダメなんだぞと心の中で呟く。店員は何だかにやけてる気もする。もしかしたら俺のファンかもしれない。しかし勘違いしてはいけない。奴はただの天使に違いない。

 

コデイン代謝されて10パーセント程度がモルヒネとなる。モルヒネは脳のμオピオイド受容体にくっつく。そうすると「おらっ、ドーパミンもっと出てこいや!」とドーパミンをもっと出すように信号が発せられる。痛み止め、咳止めである以前に快楽を生み出す物質なのだ。ドーパミンは快楽に直結する物質なので。だから新トニン=快楽なのだ。

 

 

バイトの女性は新トニンを注文した瞬間に快楽を運ぶ人間になる。快楽を笑顔で持ってくる女性...

 

これを天使といわず何と言うのでしょう!

俺を幸せにしてくれるアルバイトさんに敬意を表します。ありがとう。